船頭のいないチームは破綻する
10年位プロジェクトを運営していて、いまだなにも成果の出せてないプロジェクトがあります。
10年も続けていて潰されてないことに驚愕を覚えるかもしれませんが、それは別のときに考えるとして、今回はなぜ成果が出せていないのか、というところに焦点を当てて考えてみたいです。
優秀な人材を集め、規模は数百人規模にまで膨れ上がっている一大プロジェクトX(某駅も10年以上作り続けて、まだ完成しておりませんが、そこの話ではない)。
外野からプロジェクトを観察すると「大型船が未だに出港した港の先でプカプカやっている」だけに見えます。
その原因こそ、タイトルにある「船頭がいないこと」なのです。
優秀な人材を集め、それらがプロジェクトの中でいくつもチームを作ります。
個々にやっていることはとても素晴らしい。多分そこら辺の中小企業レベルはあるでしょう。それなのに、プロジェクトが進まない。
なぜか。
結局は、その優秀さが、自分本位の優秀さだからでしょう。自分の所属するチームが一番使いやすいように設計し、周りの同意を得ずに仕事を進めているのです。その状態となっているのが、一部のチームだけでなく、全部のチームで自己中心的な考えのもと仕事をしている。だからプロジェクト単位でのまとまり・連携がなく、一向に船が前に進まないのです。
プロジェクトはどんな規模であっても、まとめ役(船頭)が必要です。
全体を見回せて、スケジューリング・予算管理・設計思想・技術など、あらゆる方面で進むべき方向・やるべきことを指示できる船頭がひとりだけでいい、必要なのです。
これがいないと、どんなにお金をかけたプロジェクトでも、なにも成果が出せない。
セーリングをイメージするとわかるでしょう。オールを勝手に動かしても前に進みません。誰かが掛け声をかけ、タイミングのあっていない人間を修正しなければいけません。
この、プロジェクトが迷う問題は、どんな会社でも起こり得ることです。
決算では、適当に損失として計上されることでしょうが、事態は深刻。そういう企業は、いつまでたっても成果を出すことが出来ず、損失を出し続けるからです。
では、どうすれば、船頭のいない船に、船頭をつけることが出来るのでしょうか?
答えはとても簡単で、責任の所在を明確にすることです。
議案がまとまらない時、「俺がこうするって言ってるんだから、言うとおりにしろ。どうなっても責任を取るのは俺」と最後に締めの言葉を言える責任者を作ることが大事です。
そして、その責任者には、すべて例外なく従わなければいけません。従わない人間は、残念ながら船を降りてもらうしか無い。
船を進めるということは、船員の自主性を尊重していてはいけません。むろん、恐喝・恫喝して船員をまとめあげるという意味ではありません。
誰が決めるか、だけを全員に合意させる必要があるということです。
<strong> 普通は予算を取ってきた人が、責任者です。
利益を出すことを、会社に約束した人間です。</strong>
利益を出すと約束したからこそ、会社はお金をその人に預けたのです。
下っ端の人間が、御託を並べて好き勝手やって言い訳はありませんよね? その御託が良い方向に向いているなら、責任者はなにもいいませんが、単にプロジェクトを迷わせるなら、切り捨てざるを得ません。
一向に成果が出せて無いプロジェクトが、近くにあればそれを見てください。
<u>責任者がいない</u>か、<u>いたとしてもその役割を果たせてない</u>かのどちらかでしょう。