意見のあわないやつはぶっとばせ!の功罪
日本で一番読まれている漫画雑誌はジャンプです。この漫画に掲載されている内容は基本的には、「意見のあわないやつはぶっ飛ばせ!」の精神です。悪いやつをぶっ飛ばすような描かれ方をしていますので、問題ないと判断されることが多いですが、これらを読んできた世代が現在の日本を動かしていくことを考えるとわりと危険なのでは無いでしょうか。
漫画に罪はありません(一応補足しておきましょう)。
誰に罪があると言う話ではなく、漫画の中では民主主義は描かれず、どちらかと言うとアウトローの世界が描かれます。警察や法を守る人たちに、処罰を求めるのではなく、自分たちが悪人を成敗する。
これは日本国家において、ズレた思考なんですよね。
なぜなら、日本の武装する権利は法律によって警察のみが持つことを許されているのです。武装する権利というのは、少しニュアンスがおかしいですね。武力を使ってトラブルを鎮圧する権利――という方が正しいかもしれません。
警察官が酒で酔っ払って暴れている人をねじ伏せたとしても、傷害罪として逮捕されることはありません。逆に、一般人がねじ伏せて(もし大怪我でもさせてしまったら)傷害罪として訴えられる可能性があります。
しかし、警察官はしょっぴくことはできても、裁くことはできません。※三権分立
では、ジャンプの漫画はどうでしょう。
主人公が警察官として悪いやつをぶっ飛ばし、裁いてしまっているのです。もちろん漫画の世界の裁きではなく、読者に対して、「悪い人をぶっ飛ばす」と言う判決を提示しているわけです。
これらのストーリーは、ネットで溢れかえっている議論にも現れてしまっているでしょう。例えばユーチューブで「論破」と検索して出てくる動画を見ていただければわかるでしょう。
対立している両者が議論を交わし、相手を言い負かせたら勝ちがついています。そこで買った思想が正しいかどうかは、その場では判断つかないでしょう。なぜなら、それを試聴する人は、論破している人のファンが多く、論破しているところを見るととても心地よさを感じるからです。
実際ひろゆきさんやホリエモンさんの論破シーンを見るとスカッとしますからね。
でも、スカッとしたからといって、それが一般的に正しいかどうかは別問題です。日本という国が、民主主義で投票によって物事を決めていく以上、どちらの意見が支持されているか公平な立場の人達によって、採決を取らないとわからないのです。
ホリエモンさんたちが、政治に進むことはないと思いますが、選挙で支持されなければ日本の中で改革を進めることはできないでしょう(彼らの場合は、ビジネスとして自分たちの収益をあげることが主目的ですから、基本はビジネスの範囲でしか動かないはずです)。
少し話がズレましたね(反省)。
論破動画にしろ、ジャンプ漫画にしろ、主張している両者のどちらが正しいか、現実世界で判断するには、採決を取らなければいけない。
この認識が、ジャンプ漫画世代には希薄なように思えます。
「オメェだけは許せねぇ」ドーン。
「うるせぇ」ばーん。
「人間の血は流れてるのか」アタタタ。
どれも超絶面白い作品です。
作品として読むには最高に楽しい時間を与えてくれます。
しかし、これらは現実世界に適用できないのです(アタリマエのことなのですが、やはりネット上の意見を見ると自分の意見が正しいと言った考え方が多いように思います)。
現在の日本で意見をぶつけあうなら、公平な第三者に判断を委ねないと、それこそトラブルになります。