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ユニバーサル・ソルジャー 感想

ユニバーサル・ソルジャー観ました。

ベトナム戦争で狂ってしまった軍曹と、軍曹に殺された兵士がサイボーグ兵器として蘇った後、過去の記憶を取り戻し、因縁の決着を晴らすお話です。

話の内容は、ざっくりと上に記したとおり、奇をてらったところはなくシンプルです。しかし、シンプルであるがゆえに、類推する問題がいくつも思い浮かび、とても奥が深い。類推として真っ先にあげるのは、ベトナム戦争によって心を壊した兵士の問題。戦後、アメリカ国内に戻った退役軍人が戦争の怨念に取り憑かれて悩むということが起こりました。トラウマだけなら良いですが、手の震え……体の一部が痙攣して一般的な生活ができなくなってしまうなど……戦争に参加した軍人が、いかに普通の生活に適合していくかというテーマが、本作に多く影響を与えています。

本作の良い所は、映画としてのクオリティの高さだけではなく、「戦争にとりつかれた状態=死人から、現代を生きる=生きた人に戻る」という心の成長をアクションシーンの裏側でしっかりと描いていることです。
単純な戦争映画ではありません(たいてい戦争映画は反戦をモチーフにしていますが、ごたぶんにもれず、これも基本は反戦モチーフですね)。


登場人物の描き方もしっかりと描かれていますね。主人公の描写の良さも際立っていると思いますが、敵役として登場する軍曹の描写が神がかっています(褒めすぎですね)。戦争に囚われ、狂気にかられてしまった兵士をとても明確に演出しています。多少の誇張はありますが、戦争被害を受けた兵士と言う意味では、あながち間違っていないと思いました。
(ネタバレしないように記載していますので、ちょっと曖昧な感想になってしまいましたかね(笑))


テーマとキャラクターの描写が優れている点の他に、今作は全体のストーリー展開の緩急も素晴らしい。軍曹が一度やられたかに見せつつ、観客に「これで終わりではないのでは」と思わせる演出をする。軍曹の傍若無人な態度にフラストレーションをつのらせ、そして最後のカタルシスへと山をかけ登っていく展開は、傑作でしたね。

本作が監督の初監督作品ということですが、初めてのくせにやってくれますね。

1992年の作品のため、現代のお客さんの目から見ると、設定や機械の描写は見劣りするかもしれません。ありきたりと感じることでしょう。しかし、古典と思えば、多少の古さは気にならないと思いますので、ぜひ視聴してみることをオススメします(映画を作る人には、教科書として、演出のお手本として、本作はとても参考になるでしょう)。